就業規則には何を書けばいいの?
人事労務関係の実務において、よくご相談を頂く内容をQ&A形式でご紹介をしています。
Question
相談内容
- 就業規則には何を書けばいいの?
- 『絶対的必要記載事項』と『相対的必要記載事項』って何?
Answer
回答
- 就業規則には、必ず記載しなければならない『絶対的必要記載事項』と、定めがある場合には記載しなければならない『相対的必要記載事項』があります。労働基準法により列挙されていますので、最低限これらを記載しなければなりません。
『絶対的必要記載事項』と『相対的必要記載事項』…
なんか漢字がいっぱいでかっこいいね(笑)
詳細のご案内
絶対的必要記載事項と相対的必要記載事項
次に掲げる事項について就業規則を作成しなければならない。
1 始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を二組以上に分けて交替に就業させる場合においては就業時転換に関する事項
2 賃金(臨時の賃金等を除く。以下この号において同じ。)の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項
3 退職に関する事項(解雇の事由を含む。)
3の2 退職手当の定めをする場合においては、適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項
4 臨時の賃金等(退職手当を除く。)及び最低賃金額の定めをする場合においては、これに関する事項
5 労働者に食費、作業用品その他の負担をさせる定めをする場合においては、これに関する事項
6 安全及び衛生に関する定めをする場合においては、これに関する事項
7 職業訓練に関する定めをする場合においては、これに関する事項
8 災害補償及び業務外の傷病扶助に関する定めをする場合においては、これに関する事項
9 表彰及び制裁の定めをする場合においては、その種類及び程度に関する事項
10 前各号に掲げるもののほか、当該事業場の労働者のすべてに適用される定めをする場合においては、これに関する事項
労働基準法では、上記のように列挙されています。これらを読み解くと、『絶対的必要記載事項』と『相対的必要記載事項』と呼ばれるものに分類できます。
じゃあ『絶対的必要記載事項』と『相対的必要記載事項』って具体的にどう見分けるのか、解説します!
上記の条文で、「定めをする場合においては」と記載されたものが『相対的必要記載事項』になります。具体的に分類すると、以下のようになります。
- 始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇並びに交代制(労働者を2組以上に分けて交替に就業させる)場合においては、就業時転換に関する事項
- 賃金の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切及び支払の時期並びに昇給に関する事項
- 退職に関する事項(解雇の事由を含む)
- 退職手当に関する事項(適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期など)
- 臨時の賃金(賞与)及び最低賃金額に関する事項
- 食費、作業用品などの負担に関する事項
- 安全衛生に関する事項
- 職業訓練に関する事項
- 災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事項
- 表彰及び制裁(懲戒)に関する事項(その種類及び程度など)
- その他、すべての労働者に適用される事項
任意的記載事項
上記の通り、労働基準法に必要記載事項として列挙されていないものは、基本的に就業規則には規定する必要がありません。
例えば…
- 服務規律や制度の趣旨に関する事項
- 根本精神の宣言に関する事項
- 就業規則の解釈や適用に関する事項
- その他会社独自の仕組みや制度に関する事項
このように、法律上記載する必要はない事項のことを、一般的に『任意的必要記載事項』といいます。記載義務がないだけであって、記載してはいけないということではありませんので、最近はこの部分を有効に活用している就業規則が増えています。
例えば、問題社員への処分を行うために、社内でのどういった行為が処分対象の問題行為にあたるのかを『服務規律』として詳細に列挙しておきます。万が一、懲戒処分を行なった後に当該問題社員と揉める場合でも、就業規則を根拠に「処分対象であると判断した(処分を行なった)」と言えるようになります。
就業規則の必要性として、以下の記事でも説明しています!
そのほかにも、労働者にとって有益で、会社の発展につながるような仕組みがあるのであれば、積極的に記載するのが望ましいでしょう。
ちなみに、就業規則には会社全体としてのルールを、雇用契約書には労働者個人の具体的な労働条件を記載するイメージだね!
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引用元:資格の大原HP
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