【ちょこっと情報】基本手当の給付制限が『1か月』に短縮される⁉︎
社会保険の適用拡大、年収の壁問題(支援強化パッケージ)や労働条件明示義務改正(就業場所や業務の変更の範囲の明示)を始めとして、働き方の多様化が注目され、短時間労働者の働き方改革に注目が集まるところです。
今回の記事では、厚生労働省において、雇用保険の基本手当(失業保険)の給付制限に関する案が提示されましたので、ご紹介をさせていただきます。
給付が貰いやすくなるなら大歓迎だなぁ〜
令和7年度中にも給付制限期間短縮⁉︎
基本手当の給付制限
給付制限について簡単におさらいします。
※会社都合退職(人員整理や退職勧奨等)の場合は給付制限はかかりません。
さて、変更案の前に、正当な理由のない自己都合退職の場合の基本手当の給付制限期間を確認しておきましょう。
給付制限期間については、令和2年10月にも変更がされたばかりです。給付制限期間(2か月or3か月)のイメージは、厚生労働省のリーフレットの図をご確認ください。
なお、雇用保険法における、給付制限に関する条文は以下のようになっています。
1 被保険者が自己の責めに帰すべき重大な理由によつて解雇され、又は正当な理由がなく自己の都合によつて退職した場合には、第二十一条の規定による期間の満了後一箇月以上三箇月以内の間で公共職業安定所長の定める期間は、基本手当を支給しない。ただし、公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等を受ける期間及び当該公共職業訓練等を受け終わつた日後の期間については、この限りでない。
2 受給資格者が前項の場合に該当するかどうかの認定は、公共職業安定所長が厚生労働大臣の定める基準に従つてするものとする。
3 基本手当の受給資格に係る離職について第一項の規定により基本手当を支給しないこととされる場合において、当該基本手当を支給しないこととされる期間に七日を超え三十日以下の範囲内で厚生労働省令で定める日数及び当該受給資格に係る所定給付日数に相当する日数を加えた期間が一年(当該基本手当の受給資格に係る離職の日において第二十二条第二項第一号に該当する受給資格者にあつては、一年に六十日を加えた期間)を超えるときは、当該受給資格者の受給期間は、第二十条第一項及び第二項の規定にかかわらず、これらの規定による期間に当該超える期間を加えた期間とする。
4 前項の規定に該当する受給資格者については、第二十四条第一項中「第二十条第一項及び第二項」とあるのは、「第三十三条第三項」とする。
5 第三項の規定に該当する受給資格者が個別延長給付、広域延長給付、全国延長給付又は訓練延長給付を受ける場合におけるその者の受給期間についての調整に関して必要な事項は、厚生労働省令で定める。
基本手当は、受給資格者が当該基本手当の受給資格に係る離職後最初に公共職業安定所に求職の申込みをした日以後において、失業している日(疾病又は負傷のため職業に就くことができない日を含む。)が通算して七日に満たない間は、支給しない。
ちなみに、もともと自己都合退職の場合の給付制限期間は「1か月」でしたが、昭和59年改正により「3か月」に延長された経緯があります。
当時、「安易な離職防止」「離職後の早期再就職促進」を目的として変更されました。
今回の変更案
上記の給付制限期間「2か月」を『1か月』に制限緩和を行う方針が示されています。
厚生労働省は、再来年度(令和7年度)から給付制限を緩和する(制限期間を短縮する)予定で、年明けまでに具体的な制度設計を進め、来年(令和6年)の通常国会で関連法案を提出する方針です。
この変更により、「失業した人が安心して就職活動を行える環境を整え、成長産業への労働移動を促したい」との考えらしいです。
変更案の詳細は、以下、雇用保険部会報告(素案)をご確認ください。
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まとめ
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
今回は「雇用保険の給付制限期間の短縮検討」について、ご紹介をさせていただきました。
対象になりそうな方や実務に携わる方の情報整理だけでなく、社労士試験合格を目指している方の後押しができればいいなと思います。
今後新たな情報が公表されましたら、改めて情報発信をしていきたいと思います。
最後に、「短時間労働者の働き方改革」の一環として、「年収の壁・支援強化パッケージ」についての記事も合わせてご確認ください。