【ちょこっと情報】2025年の法改正について

法改正,2025
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働き方の多様化、転職市場の活発化、リスキリングや教育訓練の強化、育児・介護と仕事の両立に関する在り方等について注目される中、2025年には雇用保険法や育児介護休業法における制度改正や給付制度の見直しが行われます。本年に対応が必要となる主な法改正について紹介します。

ちょこシャロくん
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法改正情報は事前に把握しておきましょう。

2025年1月施行の法改正

次の法改正については既に施行済みのため、対応ができているか改めて確認しておきましょう。

  • 労働安全衛生関係の手続きの電子申請義務化
  • 入社祝い金(就職祝い金)の規制強化

労働安全衛生関係の手続きの電子申請義務化

労働安全衛生関係の手続きについて、電子申請が義務化されています。これにより労働基準監督署への訪問や郵送手配が不要となり、手続きの効率化が期待できます。

対象となる主な手続きは次の通りです。

  • 定期健康診断結果報告書
  • 労働者私傷病報告書
  • 総括安全衛生管理者/安全管理者/衛生管理者/産業医選任報告書
  • 心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書 等
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提出頻度が高いものではないため、紙申請での対応をしていた会社も多いのではないでしょうか。電子申請には「e-Gov」を活用しましょう。

厚生労働省HP:労働安全衛生関係の一部の手続の電子申請が義務化されます

入社祝い金(就職祝い金)の規制強化

求人サイトでの入社祝い金等の提供が規制されます。

企業の採用活動において直接影響する部分はあまりないと思いますが、リファラル採用による報奨金制度を設けている場合には、社内のリファラル採用制度の在り方についてあわせて注意しておきましょう。

2025年4月1日施行の法改正

次の通り、雇用保険法の改正や育児介護休業法の改正について施行されます。

  • 高年齢者雇用安定法の経過措置終了
  • 障害者雇用の除外率の引き下げ
  • 雇用保険法の改正等
  • 育児介護休業法の改正

高年齢者雇用安定法の経過措置終了

労使協定により「65歳未満の定年年齢」を設定することができる経過措置が設けられていましたが、2025年3月31日をもってその経過措置が終了します。

よく言われる「2025年4月から65歳定年が義務化される〜!」とは、経過措置の終了に伴い、これまで通りの高年齢者雇用確保措置が完全に適用されることを意味します。

高年齢者雇用確保措置(次のいずれかの措置を実施)

①定年制の廃止

②65歳までの定年の引き上げ

③希望者全員65歳までの継続雇用制度の導入

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今後、65歳までの定年の引き上げが義務になることを想定して、上記措置③を講じている会社から、措置②の導入をしたいといった相談も増えてきています!

厚生労働省HP:経過措置期間は2025年3月31日までです 4月1日以降は別の措置により、高年齢者雇用確保措置を講じる必要があります

障害者雇用の除外率の引き下げ

障害者雇用促進法により、一定の労働者数を上回る企業には、法定雇用率に基づく数の障害者を雇用する義務があります。2025年4月以降、労働者を40人以上雇用している事業主は1人以上の障害者を雇用し、実雇用率が「2.5%」を上回るようにしなければなりません。

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ちなみに…

法定雇用率は2026年7月から「2.7%」に引き上げられる予定です。

また、障害者の雇用義務の軽減措置として、除外率制度があります。

除外率制度とは…

障害者の就業が一般的に困難と認められる業種(免許・資格等が必要であること、安全面での懸念があること等を理由とする業種)について適用される制度で、法定雇用労働者数を計算する際に、除外率に相当する労働者数が控除され、障害者の雇用義務が軽減されます。

例えば、労働者数400人の場合、通常の法定雇用者数は、400人×2.5%=10人となります。これが仮に建設業(除外率10%)に該当する場合には、400人×10%=40人が除外されるため、(400人ー40人)×2.5%=9人の法定雇用者数となります。

この除外率制度は、2002年の法改正で廃止が決定しており、2025年4月より除外率を引き下げていくとのことです。

厚生労働省HP:障害者の法定雇用率引上げと支援策の強化について

雇用保険法の改正等

雇用保険法に関する改正等については、次のものが挙げられます。

① 自己都合退職者が教育訓練等を自ら受けた場合の給付制限解除

② 就業手当の廃止及び就業促進定着手当の給付上限引き下げ

③ 教育訓練支援給付金の支給率引き下げ

④ 雇止めによる離職者の基本手当の給付日数に係る特例等の暫定措置の継続

高年齢雇用継続給付の支給率引き下げ

育児休業給付金の延長手続きの厳格化

出生後休業支援給付の創設

育児時短就業給付の創設

※ このほか、通達の改正により、原則の給付制限期間が2か月から「1か月」へ短縮されます。

ただし、5年間で3回以上の自己都合離職の場合には給付制限期間を3か月とする取扱いは現行通りです。

厚生労働省HP:令和6年雇用保険制度改正(令和7年4月1日施行分)について

高年齢雇用継続給付の支給率引き下げ

60歳時点の賃金額の75%未満になった方に対して、60歳以後65歳に達するまでの期間、各月の賃金の「15%」を上限に支給されていた高年齢雇用継続給付ですが、2025年4月1日以降に60歳に達した日を迎えた方を対象に、支給率の上限が「10%」に縮小されます。

2025年3月31日以前に60歳に達した日(その日時点で被保険者であった期間が5年を満たすこととなった日)を迎えた方は、現行の支給率上限に変更はありません。

厚生労働省HP:令和7年4月1日から高年齢雇用継続給付の支給率を変更します

育児休業給付金の延長手続きの厳格化

保育所などへ入所できないことを理由に育児休業給付金の延長申請をする場合の手続きが厳格化されます。理由なく自宅や勤務先から遠い保育所に申し込んでいないか等、いわゆる「落選狙い」をしていないかを確認するために、延長申請の際に次の書類添付が求められます。

育児休業給付金支給対象期間延長事由認定申告書

厚生労働省HPより様式ダウンロード可能)

② 市区町村に保育所等の利用申し込みを行ったときの申込書の写し

③ 市区町村が発行する保育所等の利用ができない旨の通知

(入所保留通知書、入所不承諾通知書等)

※ これまで③のみであった添付書類に①、②が加わります。

この取扱いは2025年4月1日以後に育児休業に係る子が1歳に達する場合、または1歳6か月に達する場合から適用されます。

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特に②の申込書写しは誤って捨ててしまわないように、育休中の労働者(延長申請を行う労働者)に対しては事前に説明しておくとよいでしょう。

厚生労働省HP:2025年4月から保育所等に入れなかったことを理由とする育児休業給付金の支給対象期間延長手続きが変わります

出生後休業支援給付の創設

2025年4月1日から、出生時育児休業給付金または育児休業給付金の支給を受ける方が、両親ともに一定期間内に通算して14日以上の育児休業(産後パパ育休を含む)を取得し、一定の要件を満たすと「出生後休業支援給付金」の支給を受けることができます。

出生後休業支援給付金として休業開始前賃金の13%を支給することで、育児休業給付金等の67%とあわせて給付率80%(手取り100%相当)へと引き上げます。

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「給付率80%≒手取り100%相当」の考え方

育児休業前には社会保険料・雇用保険料・所得税がかかっていたところ、育児休業中は社会保険料免除で、雇用保険料がかからず、また育児休業給付金等は課税対象外です。そのため、休業開始時賃金の80%が手取り100%相当ということです。

厚生労働省HP:2025年4月から「出生後休業支援給付金」を創設します

育児時短就業給付の創設

2025年4月1日から、2歳未満の子を養育するために所定労働時間を短縮して就業した場合に、賃金が低下する等一定の要件を満たすと「育児時短就業給付金」として、時短勤務中に支払われた賃金額の10%を上限に支給を受けることができます。

2025年1月30日現在、育児時短就業給付のリーフレットが公表されておりません。厚生労働省HPの最新情報をご確認ください。

育児介護休業法の改正

男女とも仕事と育児・介護を両立できるように、育児期の柔軟な働き方を実現するための措置や介護離職防止のための措置についての改正が実施されます。

① 子の看護休暇の見直し

② 所定外労働の制限(残業免除)の対象拡大

③ 短時間勤務制度(3歳未満)の代替措置にテレワーク追加

④ 育児のためのテレワーク導入

⑤ 育児休業取得状況の公表義務化適用拡大

⑥ 介護休暇を取得できる労働者の要件緩和

⑦ 介護離職防止のための雇用環境整備

⑧ 介護離職防止のための個別の周知・意向確認等

⑨ 介護のためのテレワーク導入

厚生労働省HP:育児・介護休業法 改正ポイントのご案内

育児休業取得状況の公表義務化適用拡大

これまで労働者が1,000人を超える企業の事業主に義務付けられていた「男性労働者の育児休業等の取得状況を年1回公表すること」について、育児介護休業法の改正により、労働者が300人超1,000人以下の企業にも公表が義務付けられます。

公表内容

次の①または②のいずれかの割合を企業HP等に公表します。

① 育児休業等をした男性労働者の数 ÷ 配偶者が出産した男性労働者の数

② (育児休業等をした男性労働者の数 + 小学校就学前の子の育児を目的とした休暇制度を利用した男性労働者の数)÷ 配偶者が出産した男性労働者の数

公表内容②の「育児を目的とした休暇制度」とは、育児休業や子の看護休暇など法定の制度は除き、「育児を目的とするもの」であることが就業規則等で明らかにされている休暇制度を指します。会社独自の育児目的休暇(有給)を創設することで、1日~数日程度の短期間の休暇を気軽に取得できる社内の雰囲気を作るとともに、公表する男性の育児休業取得率等を向上させることに期待できます。

厚生労働省HP:2025年4月から、男性労働者の育児休業取得率等の公表が300人超1,000人以下の企業にも義務化されます

2025年10月1日施行の法改正

主な内容としては、次の通り雇用保険法や育児介護休業法の改正が挙げられます。

  • 雇用保険法の改正(教育訓練休暇給付金の創設)
  • 育児介護休業法の改正

雇用保険法の改正(教育訓練休暇給付金の創設)

教育訓練休暇給付金とは、リスキリングの重要性が高まる中、自己啓発やスキルアップを支援するために創設される制度です。

5年以上の雇用保険被保険者期間を有する方を対象とし、職業に関する教育訓練を受けるために無給の教育訓練休暇を取得した際に、その期間中の経済的支援を目的として、失業給付と同額の給付金が支給されます。

育児介護休業法の改正

2025年10月1日から施行される改正内容としては、次の措置があります。

柔軟な働き方を実現するための措置等

柔軟な働き方を実現するための措置として、3歳以上の小学校就学前の子を養育する労働者に関し、次の5つの措置の中から2つ以上の措置を選択して講ずる必要があります。

  • 短時間勤務制度
  • 始業時刻等の変更
  • 保育施設の設置運営等
  • テレワーク等(月10日以上の実施。原則時間単位で取得可能とする)
  • 新たな休暇の付与(年10日以上の付与。原則時間単位で取得可能とする)
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選択した措置について、就業規則等の見直しをあわせて行いましょう。

仕事と育児の両立に関する個別の意向聴取・配慮

事業主は、次の時期に子や各家庭の事情に応じた仕事と育児の両立に関する以下の事項について、労働者の意向を個別に聴取しなければなりません。

  • 労働者が本人または配偶者の妊娠・出産等を申し出た時
  • 労働者の子が3歳になるまでの適切な時期

その他の法改正等

その他予定される施策や検討されている事項について紹介します。

マイナ保険証への移行

2024年12月2日より開始された健康保険証の新規発行終了及びマイナ保険証への移行について、2025年12月1日をもって従来の健康保険証が有効期限切れとなります。

2024年12月2日以降は、従来の健康保険証に代わり、「資格確認書」の発行ができるようになっており、現状医療機関等を受診の際には、従来の被保険者証やマイナ保険証を用いるほか、資格確認書による受診が可能です。

既に加入している被保険者については、保険者が必要と判断した場合(マイナ保険証をお持ちでない方、マイナンバーが未登録の方等)に、従来の健康保険証が失効になるまでに「資格確認書」が自動交付される予定です。

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移行期間の不安を解消するためにも、事前にマイナ保険証の利用登録をしておくことをお勧めします。

厚生労働省HP:健康保険証は12月2日以降新たに発行されなくなります

労働基準法の改正検討

労働基準関係法制研究会の報告書によると、定期的な休日を確保するため、「13日を超える連続勤務を禁止すること」や「法定休日をあらかじめ特定すべきこと」を法律上に規定するよう検討されているとのことです。

今後、法定休日の特定(毎週日曜日等)が義務化されれば、就業規則の見直しだけでなく、勤怠システムの設定や給与計算方法にも影響が出ることが予想されます。

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おすすめの勉強方法

実務において、法改正関連の相談をいただく機会は多く、また改正内容について就業規則の改定の提案・案内をすることも多いです。実務寄りの出題が増えていると感じる社労士試験の中で、各科目対策や一般常識科目対策として、一度目を通しておくことをお勧めします。

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まとめ

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

今回は、2025年に施行される法改正について、ご紹介をさせていただきました。

実務に携わる方の情報整理だけでなく、社労士試験合格を目指している方の後押し(実務イメージ)ができればいいなと思います。

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社会保険労務士(有資格者)
『ちょこっと社労士ブログ』運営者の「ちょこシャロくん」です!
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