労務相談Q&A

定年再雇用のタイミングで年次有給休暇の残日数や勤続年数はリセットできますか?

moyap

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人事労務関係の実務において、よくご相談を頂く内容をQ&A形式でご紹介をしています。

Question

相談内容

  • 定年退職された労働者を引き続き「嘱託社員」として再雇用しましたが、その際、年次有給休暇の残日数や勤続年数はリセットできますか?

Answer

回答

  • 定年の際に年次有給休暇の残日数を消滅・リセットすることはできません。
  • 年次有給休暇付与における勤務年数は、定年前の期間も通算しなければなりません。
ちょこシャロくん
ちょこシャロくん

会社内における身分の変更(正社員→嘱託社員)っていうだけで、勤続年数としては引き続いているって考えるんだね!

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「継続勤務」の考え方

労働基準法第39条第1項(抜粋)

 使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。

上記のように、労働基準法では、年次有給休暇を付与することが必要となるための要件のひとつとして、「6か月間の継続勤務をすること」が定められています。

この『継続勤務』とは、いわゆる『在籍期間』のことであると解されています。

形式上、一旦労働関係が終了し、別の契約が成立している場合であっても、前後の契約を通じて、「実質的に労働関係が継続している」と認められる限りは、上記労働基準法でいう『継続勤務』と判断されます。

継続勤務となる例
  • 定年退職者の嘱託社員としての再雇用
  • 有期労働契約の更新
  • 非正規社員から正規社員への転換(パート・アルバイトを正社員として引き続き雇う場合)
ちょこシャロくん
ちょこシャロくん

定年退職に伴って「退職金」を支給している場合でも、再雇用されて引き続き雇用される場合には、継続勤務として考えるよ!

勤続年数通算と残日数繰越

上記の通り、定年退職者の嘱託社員としての再雇用や、非正規社員から正規社員へ転換する場合については、会社内における身分の切替えであって、実質的には労働関係が継続していると認められます。

したがって、勤続年数は当然に通算しなければなりません。

また、年次有給休暇の残日数についても、そのまま引き継ぐ必要がございます。

例えば…

正社員(2010年4月1日入社)が、2023年6月30日に定年退職し、7月1日以降そのまま嘱託社員として再雇用される場合を考えます。

2023年6月30日時点で、残日数40日(2021年10月付与の20日と2022年10月付与の20日)だとします。

この場合、2023年7月1日を迎えても、残日数40日の権利はそのまま引き継ぎますので、嘱託社員になってからでも当然に取得可能です。

そして、次の付与日は「2023年7月1日から6か月後」ではなく、今まで通り「2023年10月1日」となります。週所定労働日数に変更がなければ、付与日数は改めて「20日」となります。

ちょこシャロくん
ちょこシャロくん

嘱託社員として再雇用する場合に、週所定労働日数を減らすこともあります。通常週4日以下になる場合には『比例付与』を適用して、改めて付与日数を決定することができます。

勤続年数に応じた付与日数比例付与の詳細は、以下の記事をご覧ください。

年次有給休暇って何日あげればいいの?
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ちょこシャロくん
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社会保険労務士(有資格者)
『ちょこっと社労士ブログ』運営者の「ちょこシャロくん」です!
自身の社労士合格経験(不合格経験も…)や労務相談実務について、皆様に情報発信をしていきたいと思います!
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