年次有給休暇を買い上げることはできる?
人事労務関係の実務において、よくご相談を頂く内容をQ&A形式でご紹介をしています。
Question
相談内容
- 年次有給休暇を実際に取得させたくないのですが、買い上げることは出来ますか?
- 退職時にまとまって請求された年次有給休暇について、引き継ぎをさせるために金銭の追加支給で対応しても良いですか?
Answer
回答
- 通常、買い上げはできません。ただし、以下の場合には買い上げをすることも可能だと考えられています。
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買い上げできないの?
労働基準法に明確な禁止規定があるわけではないですが、年次有給休暇の事前の買い上げは原則禁止と判断されています。
「労働者の心身の疲労を回復しゆとりある生活を保障する」という年次有給休暇の趣旨から、金銭を与えるだけでは足りず、現実に休みを与える必要がございます。
会社から「年休取らない代わりに給与を上乗せ支給するよ」と言われたら、労働者は「だったら休まない方が良いのかも」となってしまい、法の趣旨に反するというイメージかな…
買い上げが認められる場合
原則禁止とされている買い上げですが、以下のような場合には例外的に買い上げでの対応も多く見受けられます。
例えば、年休残日数が20日ある労働者が、4月末頃に「5月中年休消化をして5月末に退職します」と申し出てきた場合です。
会社としては、後任への業務引き継ぎをして辞めてほしいと考えることも多いと思います。
「5月は出勤して引き継ぎ業務をしてほしい。その場合、残っている年休20日分は退職金(1か月分の給与相当額)として追加支給します。」というような対応も可能です。
但し、原則「労働者の希望する時季に与えなければならない」という労働基準法の定めに反することになるため、労働者本人の合意が必要です。
年次有給休暇の権利は「2年で消滅」します。
付与されて、翌年に繰り越して、付与日から2年で消滅という流れです。
その消滅してしまった年休を買い上げることは可能です。
そもそも自然に消滅してしまう日(0円)を会社が買い取ってあげる感じだから、従業員に有利でOKということだね!
年次有給休暇は法律で定められた日数を与えなければなりません。
その法律上の日数を超えて「会社の独自ルール」として多めに付与している場合についてです。
例えば、20日の付与義務のある労働者に対して25日分の付与をした場合、法を上回る5日分については、会社独自ルールの休暇制度なので、自由に買い上げてOKということになります。
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引用元:資格の大原HP
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