就業規則の届出方法は?周知義務って?
人事労務関係の実務において、よくご相談を頂く内容をQ&A形式でご紹介をしています。
Question
相談内容
- 就業規則の届出ってどうやるの?必要な書類は?
- 就業規則の周知義務って何?周知の方法は何でもいいの?
Answer
回答
- 労働基準監督署へ「就業規則」「就業規則の作成(変更)届」「労働者代表の意見書」の正本とコピーを電子申請・郵送・窓口持参のいずれかの方法により届出します。
- 就業規則は、従業員に周知しなければなりません。周知方法は、見やすい場所への掲示や備え付け、その他書面交付などの方法があります。
届出方法や周知方法にも決まりがあるなんて…
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就業規則の届出義務
常時10人以上の労働者を使用する使用者は、就業規則を作成し行政官庁に届け出なければならない。変更した場合においても、同様とする。
この「行政官庁」というのは労働基準監督署のことです。
また、このように就業規則の作成・届出は「常時10人以上の労働者を使用する使用者」が義務ですので、労働者数10人未満の会社は作成・届出をしなくても良いことになります。
ただし、労働者数10人未満の会社でも、就業規則を作っておくことをお勧めします!
就業規則の必要性について、詳しくは以下の記事をご覧ください。
また、就業規則を労働基準監督署へ届け出るときは「就業規則の作成(変更)届」と「労働者代表の意見書」が必要です。
「就業規則の作成(変更)届」には会社の代表印を押印します。(電子申請の場合には押印不要です。)
「労働者代表の意見書」については後述します。
そして、労働基準監督署へは以下の書類の正本とコピーを用意して、電子申請・郵送・窓口持参のいずれかの方法により届出します。コピーに労働基準監督署の受理印を押印してもらい、返却を受けたら届出手続き完了です!
- 就業規則
- 付属規程(賃金規程、育児介護休業規程、テレワーク規程など全て)
- 就業規則作成(変更)届
- 意見書
窓口持参であれば、通常、その場ですぐにコピーに受理印を押して返してもらえるよ!
意見書の作成
使用者は、就業規則の作成又は変更について、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならない。
② 使用者は、前条の規定により届出をなすについて、前項の意見を記した書面を添付しなければならない。
労働組合または労働者の過半数代表者は「意見書」に意見を記入します。
以前は署名または記名押印が必要とされていましたが、2021年4月1日より、意見書についても「押印廃止」となりました。ただし、誰が意見書を作成したのか明確にするために、記名は必要です。
労働者の過半数代表者の選出方法は、投票や挙手などの民主的な方法によります。ただし、管理監督者の地位にある人は労働者の過半数代表になることはできません。また、使用者が一方的に指名するなどの方法は認められません。
「意見書」では、意見を聴けばよいのであって、「合意」を求める必要はありません。
とは言っても、反対意見が多い就業規則を使用者側の意向のみでゴリ押しするのもどうかなぁ…
就業規則の周知
使用者は作成した就業規則を常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること、書面を交付することその他の厚生労働省令で定める方法によって労働者に周知させなければならない。
上記の「厚生労働省令」とは、下記の労働基準法施行規則のことです。
法第106条第1項の厚生労働省令で定める方法は、次に掲げる方法とする。
1 常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること。
2 書面を労働者に交付すること。
3 磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し、かつ、各作業場に労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置すること。
具体的な方法は以下のようなものが考えられます。
- 会社の見やすいところに就業規則のコピー吊るしておく
- 専用のキャビネットや引き出しにしまっておき、全労働者にその場所といつでも閲覧できることを伝えておく
- 印刷し書面として労働者全員に配布する
- pdfデータなどの書き換えができない電子データとして、社内イントラネットなど、労働者がパソコンで閲覧出来る状態にしておく
- pdfデータなどの書き換えができない電子データを、社内メール添付で周知する(メールが削除されないよう注意が必要)
また、就業規則の内容が合理的である場合には、その就業規則に定められた労働条件が労働契約の内容になるとされ、これは就業規則の周知がされていない場合でも就業規則の適用を受けるものとされています。(S61.3.13 電電公社帯広局事件)
ただし、労働契約法第9条に定める「労働条件の不利益変更」の例外として、同法第10条では、就業規則の周知が要件の1つとされています。
そのほか、会社が従業員を懲戒処分するときは、あらかじめ就業規則に懲戒の種類及び事由を定めていることが必要である。そして、就業規則が法的規範としての性質を有するものとして、拘束力を生じるためには、その内容を従業員に周知していることが必要であるともされています。(H15.10.10 フジ興産事件)
就業規則を作成(変更)したら、すぐに従業員に周知することが大事ってことだね!
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引用元:資格の大原HP
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