年次有給休暇の取得日を会社が指定できる?
人事労務関係の実務において、よくご相談を頂く内容をQ&A形式でご紹介をしています。
Question
相談内容
- 年次有給休暇の取得日を会社が個人ごとに指定することはできますか?
- 年次有給休暇を年5日労働者に取得させることが使用者の義務となっていますが、お盆や年末年始の飛び石連休の際に、年次有給休暇を取得させ大型連休としたい場合の方法を教えてください。
Answer
回答
- 「年次有給休暇の計画的付与」制度を適用することで、会社が年次有給休暇の取得日を指定することができます。
- 年次有給休暇の取得時季を会社が調整して大型連休とする場合も、計画的付与制度を利用すれば可能です。
計画的付与制度の導入方法や利用イメージについて案内します!
詳細のご案内
計画的付与とは?
使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、第一項から第三項までの規定による有給休暇を与える時季に関する定めをしたときは、これらの規定による有給休暇の日数のうち五日を超える部分については、前項の規定にかかわらず、その定めにより有給休暇を与えることができる。
年次有給休暇の計画的付与は、『計画年休』とも言われます。上記労働基準法の通り、計画年休は、『労使協定』を締結することで、会社が計画的に年次有給休暇の取得日を指定することができる制度のことをいいます。
『労使協定』については後で説明するよ!
なお、付与日数のうち5日を除いた残りの日数が計画的付与の対象とできます。計画年休を導入する場合であっても、年次有給休暇の付与日数のうち5日は個人が自由に取得できる日数として必ず残しておかなければなりません。それは、従業員が病気その他の個人的事由による取得ができるよう「指定した時季に与えられる日数を留保」しておく必要があるからです。
前年度取得されずに次年度に繰り越された日数がある場合は、繰り越された年次有給休暇を含めて5日を超える部分を計画的付与の対象とすることができます!
計画的付与制度の利用方式(イメージ)
計画年休は一般的に以下3つの方式に区分されます。導入にあたっては、会社の実態に応じ、いずれかの方式を選択することになります。
会社全体を一斉に休みにできる、もしくは一斉に休みにした方が効率的な業態については、全従業員に対して同一の日に年次有給休暇を与えるという一斉付与方式の導入が考えられます。
(例:製造業など、操業を停止させ全労働者を休ませることができる事業場)
会社で一斉に休みを取ることが難しい業態については、班・グループ別に交替で年次有給休暇を付与する方式の導入が考えられます。
(例:流通・サービス業など、定休日を増やすことが難しい企業・事業場)
年次有給休暇の計画的付与制度は、個人別に導入することもできます。夏季、年末年始、ゴールデンウィークや、誕生日、結婚記念日など従業員の個人的な記念日を優先的に充てるケースも多いようです。
(例:夏季・年末年始・GW・誕生日など労働者の個人的な記念日に優先的に取得させる)
会社で一斉に休む年末年始休暇の一部を計画年休によって取得させることもできるね!
あと、曜日の巡りによって発生するGW中の1日2日だけの平日を、計画年休で埋めて大型連休にしてしまうことも考えられるね!
計画的付与の導入方法(労使協定の締結)
まず、労使協定とは、労働者(労働組合や労働者代表)と使用者(会社)で、労働条件や労働環境に関して合意した内容を書面にて締結する協定のことです。つまり「労使で交わした約束ごとが書いてある書面」だとイメージしてください。
そして、今回の「計画年休」を導入するためにも、以下の項目を記載した「労使協定の締結」が必要となります。
引用元:厚生労働省「年5日の年次有給休暇の確実な取得 わかりやすい解説」
※上記画像をクリックすると、厚生労働省のパンフレットをご確認いただけます。
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